コラム
コロナショックと病院の今後など
2020年4月20日
今の状況
新型コロナの感染の勢いは止まることを知らない。2020年4月20日現在での感染者数は世界の202の国地域で200万人そして死亡者数は20万人。我が国でもそれぞれ1万人と200人となっている。当初、2002年7月に発生したSARSや2012年9月に発生したMERS
消息までの期間が7~8か月程度であったため今回の新型コロナウィルス(COVID-19)もその程度と考えていた人は筆者を含めて多かったと考える。
然しながら、世界200余りの地域や国での感染者250万人で死亡者が20万人を超え、わが国でもそれぞれ12,000人に200人を超える今、多くの識者が収束または終息まで早くとも年内か最も悲観的な観測では5年から10年としている。
感染者数はアメリカを始め欧州に集中している。世界の多くの国では都市封鎖を行い感染の抑制に努めているのは周知の通りだ。このような状況がいつまで続くのか、長引くほど収束後の世界情勢(経済情勢)は楽観を許さない。
世界の企業活動が停滞している影響で原油の価格が今までにないほど下落していることも大きな不安材料だ。
このことを含めてシステムズリサーチ社の代表で金融時評なども行っている吉田繁治氏は、半年から1年での収束を前提として円とドルの関係を以下のように予測している。
(1)コロナショックの収束が短期なら、「ドル高/円安」、
(2)秋や冬まで長期化すれば(第二波があれば)、米国株は二番底をつけるため、「ドル安/円高」。これは、日本の感染率が、米国より低いとの前提。
(3)仮に米国より感染率が高くなると、「ドル高/円安」。
前提とした短い期間での収束であっても経済状況は変化すると言っている。詳細は同氏の「コロナショックの相貌と2020年末までの予想」を参照されたい。
収束後は40年以前のオイルクライシスの頃、または第二次世界大戦後と同様と言っている学者やジャーナリストもいる。が、より厳しい世界情勢社会情勢になっているのかもしれない。今回はリーマンショックの何十倍にもなり、国内では2,700万人の生活が破綻すると予測している経済学者もいる
収束までの道程の長短もあるが予断を許さない状況であることは十分理解できる。
我が国の医療は
それでは、医療機関についてはどうだろう。医療機関は医療崩壊の一歩手前の状況と言われ医療関係者はマスクや防護服不足の中で必死の覚悟で患者に(新型コロナに)向き合っている。
医療関係者の現場での感染も大きな問題だ。NHKの調べによると全国60施設で医師を含めて約500人が感染したとのことだ。その中で来院制限や入院(手術)制限を行っている施設が増加している。
通常の診療や治療を制限していることだ。更に、高齢者を中心に医療機関への受信を控えることが増加している。このことにより多くの医療機関では減収減益が見込まれるとしていることは報道の通りだ。
先日のNHKによる茨城県でのアンケート調査で、今後不足すると考えられるリソースはとの問いに医師をはじめとした医療スタッフとの回答が多くみられた。
また秋田県では離職中の看護師の復職を前提とした研修会を開催した。
同様に医療スタッフの不足に備えてのことだ。看護職員だけではなく看護助手や委託事業者のパート職員が医療機関勤務の不安から職場離脱が増加しているとの報告もある。
このように、コロナの渦中での不安材料も然りだが収束後は疲弊した医療機関が従来通りの機能を取り戻せるかはより不透明だ。
更に、現在世界中で不足している高性能マスクや防護服の増産に向かっていることで、不織布自体の生産に不安を覚えている向きも多い。収束後の手術で使用するオイフやガウンの不足予想だ。
今、これらのリネン製品の流通はほとんどないし、流通が復活したとしても現在の病院設備やリネン業者での受託体制が整備されるかも不明だ。
コロナ禍の一日でも早い解決を切望するのは当然だが、コロナ後の機能回復及び減収減益からの脱却に関しても地域医療計画の見直しを含めた対策案の提示と実施が求められると考える。
単に国民医療費の低減化を目的とした医療再編ではなく、そして最も重要なのは「医療機関の生き残り」ではなく「地域の患者の生き残り」という視点で計画の立案が求められていると言う事だ。