Column
2010.8.26 |
医療機関購買サービスの定義 |
ホスピタルソリューションG シニアエキスパート 三谷 美和 |
近年、SPD事業者を中心に、共同購買あるいは購買窓口機能などと云ったサービスの提供が行われてきている。筆者はそれらのサービス内容を整理し、定義してみた。
これらのサービスが、医療機関にとってどのように評価され、どのように変化していくのか楽しみである。。
(1) 共同購買
共同購買とは、同一品目(単品別に)を複数の顧客からの要求に基づき一元購買を行い、単独では受けられないスケールメリットを享受するものである。無論、複数個客間の品目統制を行い一元化することが必要になる。
我国では、顧客で使用する全てについて複数間の共同購買は成立していないし、一部に過ぎない。
過去、購買量の少ない開業医を対象に、地域医師会が組織した医師協同組合が近い存在であったが、現在ではほとんどが活動していないに等しいか、一部の物品の通販を行っているくらいである。
(2) 購買窓口(購買代行)
購買窓口とは、顧客の購買業務を代行するものであり、単一顧客に対して行うものである。現在の業態では、顧客単位での購買代行を複数担っているに過ぎない。顧客間では同一物品であっても購買価格は異なる。代行業者の在庫は顧客ごとにまとめられ、業者自体の効率化にはつながっていない。現在の卸との相異は、対象が顧客で使用する全ての物品か、その一部かでしかない。この場合しばしば、顧客からは従来の納入業者をそのまま使うことを要求されるため、支払代行とも呼称され、事業者の旨みは少ない。
(3) 折衷型
共同購買と購買窓口の折衷型と言うのも存在する。これは、グループ病院など関連する施設に対して実施されているもので主導権が事業者にあるわけではない。購買窓口に近いが複数の医療機関に対してのサービスという点では共同購買と見ることもできる。
(4) GPO
GPOとは、米国における共同購買組織であるが、上記の2つと異なるのは、商流(販売行為)を行わないことである。組織によって若干の異なりはあるが、
1. 複数病院で使用頻度の高い品目を整理し
2. カタログ化し、
3. メーカには、カタログ価格(会員病院への納入価格)を決めさせ、
4. 会員病院からは、GPOを介して(EOS)注文を行う。
5. 納品(物流)は、予めGPOとの間で契約された物流業者(卸の場合もある)が行う。
6. GPOは、会員病院からの出資(または会費)か、メーカよりの管理費により成立つ。
7. GPOの利益は、配当(機器などの補助)で会員病院に還元される。
8. GPOにおける会員へのサービスは、購買のみではなく、経営改善や手術プログラムの提供など様々なサ ポートメニューが用意されている。
などを行っていることである。
我国では、薬事法に代表される関連法や商習慣(メーカと卸の関係や、内外価格差など)により、米国と同様のサービスを展開している組織はない。
商社など卸以外からSPD事業に参入した企業がGPOを目指しているが、先の商習慣の存在で自らも物販を行うことを志向してきている。
上図出典:2003年5月医療産業共同購買協会報告書(米国)